「アテンドの中には2回目のワクチン接種を終えていない人もいる。とにかく打ったのは1回。あとは、業務優先で入った人もいます」(前出の男性添乗員)
菅義偉首相は6月28日の空港視察で、「完全に一般の方と離れて、接触しないようになっていた」と胸を張っていた。だが7月8日に立憲民主党などによる「東京オリンピック総点検野党合同チーム」が視察したところ、入国者の誘導と一般人との接触を防ぐ予防策の不備が相次いで発覚。「バブルに穴が開いていると言わざるを得ない。改善をしていただきたい」と厳しい指摘を受けた。実際に入国ラッシュが始まると、今度は明らかな人員不足が露呈した。
首相周辺からは「完全に接触しない状況をつくるのは無理」との声が漏れる。
「国民の命と安全を守るのは政府だと言っても、バブル対策を徹底する責任者は大会組織委員会。国としては打てる手立ても限られる。そもそも、数万人もの入国者と日本国民との接触をゼロにするなんて不可能だ」
こうした批判を受けて、菅首相は7月15日に2回目の空港視察をした。「開幕までもう1週間だ。国民の命と健康を守るために、水際対策をさらに徹底するよう職員に指示した」と語ったが、「バブル方式の徹底」は明らかにトーンダウン。「IOC(国際オリンピック委員会のトーマス・)バッハ会長と会った際にも、そこ(バブル方式)は強く指摘した。組織委員会と連携しながらIOCとの間でしっかりやってほしい。できると思う」と述べるにとどめた。(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年7月26日号より抜粋