ヤン選手は右組み、高藤選手は左組み。けんか四つと呼ばれる組手は、たとえば自分は右手で相手の左襟をつかみ、相手は左手で自分の右襟をつかむかたちになるので、相手との間合いが空きがちになる。決勝で、両者とも相手を警戒。互いに技を掛けようとしても、なかなか決定的な形に持ち込むことはできなかった。一進一退の攻防で両者一歩も譲らず、試合は延長戦にもつれこんだ。
手に汗握る展開で、ヤン選手がクローズアップされると、女性から「キャー、イケメン」と黄色い声が上がり、「高藤選手は場外でポイントとられたな…」と男性はぽつり。そんな観戦シーンがお茶の間で繰り広げられていたようだ。
結果は、7分40秒の激闘の末、ヤン選手に指導が3枚出て、高藤選手が試合を制した。ヤン選手は直後にぼう然としていたが、高藤選手が手をとって讃えると潔く納得した様子だった。
「反則負けといえども、実力は伯仲していたように見えました。長いことやり合った結果で、恥ずかしい負け方ではないと思う」
そんな感想を抱いたのは、柔道二段の男性(44歳)だ。ヤン選手は海外の選手には珍しく、襟を持って組んでから技をかける「日本の柔道」をするタイプに見え、今回の五輪で印象に残った試合の一つだという。
試合中から、SNSでは「台湾の選手、LDHのルックス担当かよ」「髪の毛がサラサラで漫画みたい」「イケメンすぎてびびった」とヤン選手の話題で盛り上がった。審判に「待て」と言われるとすぐさま襟を正して着衣の乱れを直す姿には「柔道家らしいふるまい」「みていて清々しい」といった男性の声も。表彰式には晴れやかな表情で臨み、銀メダルに頬ずりして喜びをかみしめていた。試合中とのギャップに「これは反則」「かわいすぎ」「癒された」という声が続出。
実力もあって恵まれたルックスなのに、浮ついたところがないように見えるので、好感度が高かったようだ。
台湾でもさぞかしモテモテなのかというと、先の関係者は語る。