ここ数年、お笑いの世界で「学生芸人」という言葉をよく耳にするようになった。学生芸人とは、人前でコントや漫才などのネタを披露する活動を行っている高校生や大学生のこと。主に大学のお笑いサークルに所属して、ライブに出演したりコンテストに参加したりする現役学生のことを指している。
学生芸人が注目されるきっかけの1つになったのは、ラランドが世に出てきたことだ。サーヤとニシダの2人から成るラランドは、上智大学外国語学部イスパニア語学科の同級生で、上智大学のお笑いサークル出身の学生芸人だった。彼らは2019年の『M-1グランプリ』で、アマチュアでありながら準決勝に進み、話題を呼んだ。
2019年時点でサーヤはすでに社会人だったが、ニシダは現役大学生だったため、紛うことなき「学生芸人」だった。アマチュアが『M-1』の準決勝に進むだけでも珍しかったのだが、学生芸人であるというのもめったにないことだったため、そのことがメディアでもよく取り上げられていた。
彼らに限らず、もともと学生芸人として活動していたプロの芸人は年々増えてきている。しかも、その中にはさまざまなタイプの売れっ子も出てきている。
例えば、2019年の『M-1』優勝のミルクボーイは大阪芸術大学、2020年の『M-1』優勝のマヂカルラブリーの村上は法政大学、共に大学お笑い出身者である。
また、『キングオブコント2017』準優勝のにゃんこスターのアンゴラ村長、『キングオブコント2018』優勝のハナコの岡部大、2018年に大ブレークしたピン芸人のひょっこりはんは、いずれも早稲田大学の名門お笑いサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO」の出身者である。
それ以外にも、ナイツ(創価大学)やメイプル超合金のカズレーザー(同志社大学)など、もともとは大学でお笑い活動を行っていたという芸人は多い。
大学のサークルでお笑いをやっているというと、遊び半分の軽いノリだろうと思う人もいるかもしれないが、多くの学生は真剣にお笑いに取り組んでいて、芸を磨いている。