五輪開催で内閣支持率は好転する。菅政権のそんな政治的たくらみが招いたのは新型コロナウイルス「第5波」、かつて経験したことのない感染爆発だった。目前に迫る決戦で、自公政権に逆風が吹くと予想される。政治ジャーナリストの角谷浩一氏と選挙プランナーの松田馨氏に、各党の獲得議席数と全選挙区の当落予測を依頼した。
【菅政権下の衆院選は? 「自民逆風で前回票より減らすのは確実」と公明元幹部が嘆息】より続く
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全国の選挙区情勢を順に見ていこう。
北海道は角谷、松田両氏ともに、12選挙区のうち、自民が安泰なのは12区の武部新氏だけと見る。野党側のウィークポイントは4区だ。性交同意年齢を巡る発言で、立憲を離党した本多平直氏が議員辞職。共産は独自候補を立てて野党の統一候補とするよう立憲に呼びかけるが、角谷氏は「リベラル派の本多氏の後を狙い、中道右派のグループが候補を立てる動きがある。共産との共闘路線にヒビが入る可能性もあります」。
東北は、TPP(環太平洋経済連携協定)の批准問題や農協改革などを巡って“農家の反乱”が起き、自民の候補者は痛い目に遭ってきた。自民が大敗する際に県都を取りこぼす「1区現象」の再現があるかもしれない。
「1区では秋田、宮城、岩手、福島が激戦と予想しています」(角谷氏)
政治ジャーナリストの野上忠興氏は、こんな予測もしている。
「コロナ禍による飲食店の営業自粛で、業務用野菜の需要が激減して、農家は大打撃を受けています。秋の収穫を前に新米の価格暴落への危機感も加わり、不満が高まっています。160万票とされる農民票の自民党離れが加速する下地がある。農家の反乱は東北にとどまらず、米作地帯の北海道や北信越、自民に厳しい目を向ける傾向がある九州の佐賀、大分あたりまで飛び火する可能性も秘めています」
■枝野氏は地元で盛り返せるか
北関東は、立憲の枝野幸男代表の地元、埼玉での戦いが焦点。前回は15選挙区のうち自民が13議席を制した。