電車を前に、熱心にカメラを構える鉄道ファンのいわゆる「撮り鉄」。多くはルールを守って楽しむ人たちだが、最近は一部の撮り鉄たちのマナーの悪さも問題になっている。今月5日夜には江ノ島電鉄(江ノ電)で、一般人や近隣住民を巻き込んだ騒動が。お目当ての列車に写り込んだ外国人男性に罵声を浴びせたという。現場周辺を取材した。
トラブルが起きたのは、8月5日23時ごろ。場所は江ノ電沿線の腰越駅ー江ノ島駅の間の交差点だった。この日は、昔ながらの江ノ電のスタイルを維持する唯一の「現役の旧型車」で「江ノ電最古の現役車両」として絶大な人気を集める300形(305編成)の試運転があり、遅い時刻にもかかわらず、集まった撮り鉄は「すごい人数だった」(近隣住民)。
目撃者によると、19時ごろから集まりはじめてどんどん人が増えていった。その数、30人以上。多くは18歳以下の未成年で、中高生くらいに見えたという。
「夜中にわちゃわちゃしているから何事かと思った。電車を待っている間もずっとしゃべっていて、娘も眠れないと言って困ってしまうほど、ずっとうるさかったんですよ」(近隣住民)
しばらくして、うるさかったそのおしゃべりが、突然、叫び声に変わった。
「どけよ!」「死ね!」
お目当ての電車が通過するのと同時に、“ママチャリ”に乗った外国人と思われる男性が現れ、電車とともに自転車で現場を通りがかった。その男性を撮り鉄らの若い子たちが囲んで詰め寄り、そう罵声を浴びせていたのだ。
「あまりに怒っていたので、殴られちゃうのかなと思った。もし暴力沙汰になったら、すぐに止めに行くつもりでした」(同)
このトラブルの様子を撮影していた人がいたようで、動画はネットで拡散された。
動画によると、自転車に乗った男性は車両と並走しながら左手を上げ、カメラに向かって無邪気にポーズをとっていた。対して、カメラを構えていた人たちは激昂。「おいチャリ乗ってんなよ!」「どけボケ!」「なんだてめぇ?」「何やってんだよ」「ふざけんじゃねえ」といった怒号が夜の町に飛び交った。シャッターチャンスを逃した悔しさのあまりか、深夜にもかかわらず「ウアアアアア」と奇声を発する人もいた。