スポーツ観戦でクラスターが発生した事例は世界各国で起きている。今年6月11日から1カ月間開催されたユーロ(欧州選手権)2020は12カ国による分散開催だったが、イングランドで行われた準決勝のイタリア-スペインは5万5000人以上、イングランド-デンマークは6万人以上の観客がスタジアムに詰めかけた。決勝戦・イタリア-イングランドの観客は6万5000人以上。英メディア・BBCが引用した「イングランド公衆衛生サービス」の発表によると、スタジアムに訪れた観客のうち9000人以上が新型コロナに感染したという。

 スポーツだけではない。新潟県湯沢町の苗場スキー場で8月20日から3日間開催された「FUJI ROCK FESTIVAL ’21」(フジロック)には、駐車場に県外ナンバーの車が会場に大挙して押し寄せ、密集した男女の集団が音楽に合わせて飛び跳ねて楽しんでいる光景が見られたという。また、愛知県常滑市で8月29日に開催された野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI 2021」でも約8000人の観客がソーシャルディスタンスを取らずに密集して盛り上がり、マスクをしないで声を張り上げていた客が目立ったことで批判の声が殺到する事態になった。

 スポーツ、音楽、芸術はコロナ禍において「不必要だ」と言い切れるものではない。多くの人たちがアスリートのパフォーマンスに感動し、音楽ライブで活力と勇気をもらい、芸術に触れることで癒しや刺激を受ける。だが、コロナ禍でルールを逸脱する行為や、クラスターが発生する事態が起きると信頼を失ってしまう。医療従事者が身を削ってコロナ対応に奮闘していることを忘れてはいけない。(江口顕吾)

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