AERA2022年11月28日号より
AERA2022年11月28日号より

 ポーランドのドゥダ大統領も同日の会見で、

「ロシアからの意図的な攻撃の兆候は見られない。ウクライナの対空ミサイルだった可能性が高い」

 と続いた。外交ジャーナリストの手嶋龍一さんは、

「米国が見せた抑制的な対応に注目すべきでしょう。NATO加盟国を含めた関係国いずれもが、戦闘がエスカレートし、第3次世界対戦に発展するような事態を回避したいという思いが、それぞれの談話からはっきりと読み取れる」

 と指摘する。

■「ロシアに最終責任」

 米国政治外交に詳しい三牧聖子・同志社大学准教授も、

「今回のバイデン大統領の危機対応は迅速で適切でした。ミサイル着弾後、まずは何が起きたかを正確に把握するとして、調査を進めたうえで次の対応を決定すると宣言。そして早々に『ロシア発とは考えにくい』と発信した。不確定な情報で一方的にロシアを非難し、緊張が一気に高まる事態は避けるべきだと考えたのでしょう。この点はロシアも一致するところだったのだと思います」

 と話す。

 NATOのストルテンベルグ事務総長が記者会見で、

「(今回の件は)ウクライナが悪いのではなく、不法な戦争を続けるロシアが最終的な責任を負っている」

 としつつも、

「初期の分析では、ロシアの巡航ミサイルによる攻撃から国を守るための、ウクライナの防空ミサイルによって引き起こされた可能性がある」

 と述べたこともあり、事態は沈静化に向かっているかに見える。

 一方、収まらないのはウクライナのゼレンスキー大統領だ。

「空軍の司令官から報告を受けている。われわれのミサイルでないことに、疑いの余地はない」

 と当初から一貫して、強気な姿勢を崩していない。

■頑ななウクライナ

 ポーランドへの着弾が起きたのは、首都キーウなどウクライナ全土で、ロシアから激しいミサイル攻撃があったのと同じ頃だ。ウクライナ当局は、ロシアから90発以上のミサイルが発射され、重要なエネルギー関連設備が破壊されたと発表している。大きな被害を受けているだけに、さらに自国の損失を広げたくないという思いが、頑なさに拍車をかけているようだ。このまま突き進んでいいのだろうか。

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