プリキュアのようなオリジナルキャラは
どうやって生まれる?
大塚監督は、原作マンガのない作品も手掛けている。例えば、『プリキュア!』シリーズの『スマイルプリキュア!』(2012~13年、テレビ朝日系)だ。
子どもたちに大人気のプリキュアだが、原作マンガは存在しない。登場するキャラクターをゼロから生み出す場合、どのようなプロセスを踏むのだろうか。
「『スマイルプリキュア!』の場合は、監督とプロデューサーが『どんな物語にして、キャラは何頭身くらいで、年齢は何歳で』といった具合にイメージを共有してから、キャラクターデザイナーに発注しました。ある程度絵が描ける監督なら、ざっくりした『イメージラフ』を自分で描いて発注する場合もありますが、僕は自分の中にない新鮮なイメージがほしかったので、あえてイメージラフは描かずに、口頭や文章でキャラのイメージを伝える場合が多かったです」
ここで気になるのが「キャラクターデザイナー」の存在だ。作品に関わるアニメーターが数多くいることは先ほども説明したが、その全員が参考にする「設計図」を描く大役には、どんな人が選ばれるのだろうか。
「作品が目指すべきビジョンに合った絵が描ける人ですね。格闘もののカッコイイ絵が得意な人もいれば、3頭身くらいのギャグアニメが得意な人、かわいい少女アニメが得意な人もいる。どんなアニメにするのかビジョンを明確にして、そのビジョンを実現してくれる人に頼みます。だって、『北斗の拳』のような作画が得意な人に、プリキュアのキャラデザをお願いしても、うまくいかないでしょう(笑)」
確かに、北斗の拳風のプリキュアは見たくない。
作品によっては、オリジナルキャラのキャラデザを、魅力的な絵を描けるマンガ家やイラストレーター、あるいは経験の浅いアニメーターが務めることもあるそうだ。しかし、任された側がアニメの絵を知らないと、例によって線の数が多くなってしまう。
その場合は、彼らの絵を「キャラクター原案」として位置付け、別途起用したアニメーターがキャラクターデザインを行う。キャラをゼロから生み出す作業と、それをアニメ向けに仕立てる作業を切り分けるのだ。
こうした特殊なケースを除けば、キャラクターデザイナーはアニメで使える絵が描けると同時に、ゼロからイチを生み出すセンスも求められる仕事なのである。
好きなアニメのキャラクターデザイナーが、他にどんな作品に携わっているのか、絵に共通点はあるのかを探ってみるのも面白そうだ。
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