
そこで、問題の岸田内閣だ。
野党が弱いうえに、自民党内にはどうやら岸田首相に取って代わってやろうという戦意を持った議員もいない。
現在、マスメディアなどでは旧統一教会と自民党議員の関わりが大問題となっているが、私が極めて問題視しているのは日本経済の劣化である。
1980年代には企業の時価総額ランキングで、世界のトップ10社に日本企業が7社も入っていたが、現在ではトップ10社どころか、トップ50社にトヨタがランクインするのみである。
そして、30年前には日本人の平均賃金は韓国の2倍であったが、現在では抜かれてしまっている。
劣化した日本経済を活性化するにはどうすればよいのか。
岸田首相は、聞く耳は持っていると思う。柔軟性もある。しかし、強い批判に抗する度胸に欠けているきらいがある。
政権交代には期待できそうになく、岸田首相に取って代わるという戦意を持った議員もいないのだから、岸田首相が覚悟を決めて思い切った構造改革をやるしかない。
私は先月、岸田首相に死に物狂いで覚悟を決めてやるように強く求めた。岸田首相は力強く応じてくれたと捉えている。どのような姿勢を見せてくれるか。岸田内閣の正念場である。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年12月2日号