野田聖子氏も立候補し、4氏での争いになった自民党総裁選。ジャーナリストの田原総一朗氏は次期総裁に託すことになる重大な問題は、日本経済の立て直しだと指摘する。
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岸田文雄、高市早苗、河野太郎3氏の誰が首相になっても、新型コロナウイルス感染拡大への対応は、菅首相と大きく変わることはない。有事の医療体制に切り替えることができないからだ。
問題は、11月になって日本人の6割以上が2度のワクチン接種を終えることで、感染者数が減少するのか、それとも第6波が炸裂するのか、である。専門家たちの予測は割れている。
そして、誰が首相になっても重大な問題になるのは経済である。
日本の国内総生産(GDP)が世界全体に占める割合は、1995年の18%から、2020年には6%と、3分の1に急落している。
そして、世界の企業の時価総額の推移を見ると、日本は1995年にはNTT(2位)とトヨタ(8位)の2社がトップ10にランクインしていたが、2020年はトヨタの43位が最高である。
スイスのビジネススクールIMDが国ごとの競争力を示した21年版の世界競争力ランキングによると、世界主要64カ国・地域中、日本は31位。東アジアの中でも、シンガポール、香港、台湾、中国、韓国を下回り、25位のマレーシア、28位のタイよりも低い評価となっている。
さらに、平均賃金を見ると、1990年には経済協力開発機構(OECD)の平均3万6941ドルに対して、日本は3万6879ドルで12位であり、フランス、イギリス、スウェーデン、韓国よりも上位だったのが、2020年には3万8515ドルで、その4カ国よりも下位の22位に落ちている。なお、OECDの平均は4万9165ドルで、1位の米国は6万9392ドルである。
そして、OECDの報告書によると、17年の初等教育から高等教育までの公的支出のGDPに占める割合が、日本は2.86%で、何と比較可能な38カ国中37位と、最下位から2番目なのである。