世間は自民党の総裁選の話題で持ちきりだが、一方の野党も次期衆院選に向けて着々と準備を進めている。政権の座を追われて9年。野党共闘も進展を見せる中、今度こそ、新たな時代を切り開くことができるのか。自身3度目の政権交代を狙う立憲民主党のキーマン、小沢一郎氏を直撃した。
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──結党から1年。政権交代の受け皿を目指し、立憲民主はじめ共産・社民・れいわの野党4党が9月8日に政策協定を結びました。
「いまこそ政権を奪取する最大のチャンスです。安倍・菅政権のコロナ対策の失敗は目に余る。昨年、新型コロナの流行が始まった段階で、僕は早く臨時病院をつくれと訴えました。各自治体にある体育館など公共施設にベッドを置き、症状の軽い人はそこで療養してもらう。全国民を無料で何回でも検査し、陰性の人は日常生活を送れます。そうすれば緊急事態宣言をくり返す必要はなく、多くの国民に迷惑がかからずに済んだはずです。菅(義偉)首相ばかりたたかれているが、初動の対策を誤った安倍(晋三)さんの責任は大きい。しかも任期途中で放り出した」
──飲食店などが破壊的ダメージを受け、国民の不満は高まっています。それなのに、野党の支持率が伸び悩んでいるのはなぜでしょうか。
「自公政権とは違う思い切った政策を打ち出して、国民の気持ちに訴えるメッセージを発信しなければならない。けれども、大変残念なことにわが党内には、かつての日本社会党のように万年野党でいいや、みたいな意識を持っている人たちがいるのも事実です。政権を取って国民のための政治を実現させようという意識が薄いのです。だから、支持率がなかなか伸びないのです」
──4月の衆参三つの補選・再選挙では全勝し、横浜市長選でも擁立した候補が当選するなど一定の成果は上げています。
「それはいかに自公への批判票が多いかということです。例えば、横浜市長選では投票率が前回よりも約12ポイント上がりました。それだけ浮動票が増え、現政権への批判票となったのです。“敵失”だけで風を恃(たの)んでいるようじゃダメです。2009年9月の民主党政権誕生時に、僕は『国民の生活が第一』を掲げた。あの時のように、自分たちで風を巻き起こさなければなりません。国民の支持を背景に政権を取る意欲がない政党は、政党じゃない。枝野(幸男)代表には勇気を持って衆院選に挑んでほしい」