R.ケリー、米NYの裁判で恐喝を含む9つの容疑全てにおいて有罪
R.ケリー、米NYの裁判で恐喝を含む9つの容疑全てにおいて有罪

 2021年9月27日、不祥事を起こしたR&BシンガーのR.ケリー(本名ロバート・シルベスター・ケリー)が、政府から告発されていた恐喝や性的搾取の人身取引を含む9つの容疑全てについて有罪とされた。

 この判決は、男性7名女性5名で構成された陪審員による2日間の審議を経て下された。比較的早く結論が出たのは、ほとんどの訴因について陪審員の意見が一致したとみられる。2008年の児童ポルノ事件で無罪判決を受けたことのあるケリーは、最高で終身刑の可能性もある。

 判決は、5週間にわたる弁論、物的証拠(公開されていないものもある)、検察側だけで45人の証人による証言を経て下された。ナディア・シハタ連邦検察官は最終弁論において、弁護側がケリーを純朴な傍観者として描いていることについて、「この件において被告人は被害者ではない。彼は不運ではなく、罪を犯している」と述べた。

 実際の被害者である“ジェーン・ドー”(匿名女性)8名と“ジョン・ドー”(匿名男性)2名は、ケリーとの間で起きた陰惨な虐待の体験や目撃を含む恐ろしいエピソードを語った。また、ケリーの過去の従業員や同僚たちも、その多くが事件を傍観していたことから、被害者たちの証言を裏付けた。ケリーが当時未成年だった故アリーヤと結婚していたことも表面化し、政府が彼を贈収賄容疑で立件する際の材料となった。20年以上前にアリーヤがケリーにされたことは業界のほとんどが知っていたものの、この違法な結婚に関連して彼が法によって責任を問われたのは今回の訴訟が初となる。

 5週間に及ぶこの裁判では、検察側が立証責任を負い、ケリーが自らの音楽事業を主に性犯罪や未成年者の性的搾取を目的とした“犯罪の手段”と認識していたことを陪審員に納得させるために弁論した。この点は、事件の核心である恐喝罪を成立させる上で極めて重要だった。一方弁護側は、証人を“不満を持ったグルーピー”と表現したり、他の複数の“スーパースター”と比較してケリーのライフスタイルが普通であることを強調したり、ケリーが文盲であると噂されていることを、犯罪組織をうまく運営できない証拠として挙げるなど、証言の粗探しに全力を尽くした。

 ケリーは、恐喝行為に加え、1910年に売春や不道徳な目的で女性を売買することを禁止するために制定されたマン法の8つの違反行為でも有罪となった。彼は今後、2022年5月4日にアン・M・ドネリー判事によって決定される判決を待つことになり、さらには米イリノイ州で児童ポルノと妨害行為、ミネソタ州で児童買春の容疑で、それぞれ年内に裁判を控えている。