今回の衆院選、自民党“大物”の落選危機で注目されるのが東京8区。自民の石原伸晃元幹事長に、立憲の新人・吉田晴美氏が挑む。
この記事の写真をすべて見る第一声から波乱含みだった。石原氏がマイクを握った途端、通りかかった女性が「何にも役に立ってないじゃないか!」と罵声を浴びせた。
ヤジをやり過ごした石原氏は「私は10回、杉並区で選挙をさせていただきましたが、文句をつけられたのは今日が初めて」と語り、こう続けた。
「これはなぜか。共産党と立民党(立憲民主)が野合して連合している。先ほどの女性のように、自分の主張と相いれない者は排除する、邪魔をする、そういうことが当たり前だと思っている人たちが一緒になって政権だけを取ろうと思ってやってきたわけです」
いくら何でも“無理筋”な口撃は、焦りの裏返しか。石原陣営からは「非常に厳しい戦い」との言葉が連発された。
野党候補が乱立した2017年衆院選では、石原氏が約9万9千票を獲得したのに対し、吉田氏は約7万6千票。希望の党候補の約4万1千票、共産候補の約2万2千票を足すと、結果は逆転する。石原陣営の選対幹部は危機感を語る。
「やはり統一候補で、単純合計すれば多いのは事実。それは私たちにどうにかできることではないので、より多い票を目指すことに尽きます」
一方の吉田氏は、「八百屋の娘」と庶民派をアピールし、こう訴えた。
「アベノミクスから8年。株価が倍になり、豊かな人々が潤ったが、私は下からのボトムアップの景気回復を目指したい」
公示前、れいわ新選組の山本太郎代表が同区からの出馬を撤回するなどゴタゴタもあったが、22日には山本氏が応援演説に立ち和解ムードに。
吉田氏を直撃すると、
「メディア対応も全然慣れてなくて、すみません。最近の選挙は中盤、後半でガラッと変わることがある。危機感を持ってやっています」と、表情を引き締めた。
吉田氏の応援に駆けつけた世田谷区長の保坂展人氏に話を聞いた。保坂氏は09年衆院選で11万7千票を集めながら、石原氏に及ばなかった。