歌や踊りがないので体力は大丈夫なんですが、精神面がむしばまれていく感じがあります。でも人間の深いところを演じる以上、こういう気持ちになるのは正解だと思いますよ。どっぷり漬かるしかないですね。
(平野)紫耀には、移動の車の中で「どうやって台詞覚えてる?」と相談しました。彼は覚えが早くて器用なタイプなので。そしたら「リズムで覚えちゃいなよ。俺らはリズムで覚えるのが得意だから」と言われて。
自分の中で言い回しのリズムがあるじゃないですか。こことここはつなげて言うみたいな。そうやってしゃべっているうちに台詞が頭に入ってくるので、遠回りしなくて済みました。仕事が終わって帰宅してから、夜中に覚えてるんですが、追い詰められて、ひたすら台詞を紙に書くとかやりそうだったので。
でも家の中でぶつぶつ唱えてるので、近隣の人に聞こえていたら怖がられてしまうかもしれない(笑)。
──むしばまれた精神をどう癒やしている?
僕、癒やしは捨てている派ですね。自分を追い込むのはけっこう好きです。ストイックという言葉に憧れてるだけなんですけど(笑)。でも「これだけやってんだ」と自分を安心させないと、夜寝つきが悪くて。「これだけ覚えたから今日は寝ていいよ」と言い聞かせるとすっきり寝られます。
あとは未来のことを考える、ですかね。12月は、舞台のほかにもいろんなお仕事をさせていただくので、たっぷり仕事しようと。じゃあ1月から何しよっかなって!
やっぱりずっと我慢していたバイクに乗りたいです。ケガしたら大変だから、舞台とかドラマに出ている間は控えるようにしていて。僕は安い奴なので、それでもう満足ですね。
(構成/本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2021年11月5日号