
年払い対象者の話が長くなったが、iDeCoを年払いにすれば国民年金基金連合会に払う月105円の手数料が年1回に。つまり「105円×11カ月分」で年間1155円の手数料を節約できる。
年払いの場合、払い込む月に1年分の掛け金をすべて投資することになる。もし一括で払い込んで、それ以降に相場が下がり続けると悲しくなりそうだ。数十年の長期で見れば、年1回投資と毎月投資の運用成績の差は縮まっていくものだが、多少なりとも時間分散の効果は薄れる。よって、「みなさん、iDeCoは年1回の拠出にしましょう!」と自信をもっておすすめできない。
最後に取られるのは給付手数料。満60歳以降にiDeCoの資金を受け取る際に発生する。給付1回につき440円。振込手数料か!

ここから先は、かかる人もいれば、かからない人もいる手数料シリーズ。移管する際の手数料に関しても知っておこう。
もともとiDeCoを選んでいた人が企業型DCに資産を移したり、自分の都合でiDeCoの金融機関を変更したりする場合、変更元の金融機関が4400円などの移管時手数料を設定しているケースが多い。
還付手数料なるものもある。iDeCoの加入条件の一つに「国民年金の保険料を納付していること」とあるが、国民年金を払い忘れた月にiDeCoの掛け金は払っていたりすると、後日「国民年金を払っていない月のiDeCoのお金」が戻る。その際、国民年金基金連合会から1048円が徴収される。これが還付手数料だ。
ここまででiDeCoが嫌になりそうだが、「月171円のサブスク料を払って投資信託でお金を増やす!」と割り切るしかない。
(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)
※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋