竹川さんのiDeCoの新刊は初心者にも評判がいい。『[改訂新版]一番やさしい!一番くわしい!個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』(ダイヤモンド社)
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 年払い対象者の話が長くなったが、iDeCoを年払いにすれば国民年金基金連合会に払う月105円の手数料が年1回に。つまり「105円×11カ月分」で年間1155円の手数料を節約できる。

 年払いの場合、払い込む月に1年分の掛け金をすべて投資することになる。もし一括で払い込んで、それ以降に相場が下がり続けると悲しくなりそうだ。数十年の長期で見れば、年1回投資と毎月投資の運用成績の差は縮まっていくものだが、多少なりとも時間分散の効果は薄れる。よって、「みなさん、iDeCoは年1回の拠出にしましょう!」と自信をもっておすすめできない。

 最後に取られるのは給付手数料。満60歳以降にiDeCoの資金を受け取る際に発生する。給付1回につき440円。振込手数料か!

AERA Money 2022 秋冬号
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 ここから先は、かかる人もいれば、かからない人もいる手数料シリーズ。移管する際の手数料に関しても知っておこう。

 もともとiDeCoを選んでいた人が企業型DCに資産を移したり、自分の都合でiDeCoの金融機関を変更したりする場合、変更元の金融機関が4400円などの移管時手数料を設定しているケースが多い。

 還付手数料なるものもある。iDeCoの加入条件の一つに「国民年金の保険料を納付していること」とあるが、国民年金を払い忘れた月にiDeCoの掛け金は払っていたりすると、後日「国民年金を払っていない月のiDeCoのお金」が戻る。その際、国民年金基金連合会から1048円が徴収される。これが還付手数料だ。

 ここまででiDeCoが嫌になりそうだが、「月171円のサブスク料を払って投資信託でお金を増やす!」と割り切るしかない。

(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)

※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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