残業代の未払い、休憩なしでの労働など、「ブラック」な環境の問題点がたびたび報じられてきた保育の世界。昨夏には、コロナ禍で休業した保育園が、委託費が今まで通り支払われているのにもかかわらず、従業員に正当な休業補償を支払わないケースが明るみに出た。

 都内の保育所で働く30代の男性保育士は、こう本音を漏らす。

「保育や介護は、本来は国が責任を持って福祉施策として手厚くやらないといけないことなのに、民間に投げている感じがします。その民間業者は利益第一ですから、甘いルールのままで投げ続けても、現場の人たちの生活は大きくは変わらないと思います。保育士や介護士、看護師の数をしっかり確保したいのなら、経営者の顔色ばかりを見ず、ちゃんと意味のある形にしてほしい」

 実態を見たうえでの政策を打てるか、効果の薄いばらまきで終わるのか。岸田首相の本気度が問われる。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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