平昌五輪金メダリスト・ザギトワ

 ザギトワは、2020年2月に放送された日本のテレビ番組で、平昌五輪シーズンの翌季、世界選手権まで試合に出続けるという内容の誓約書をトゥトベリーゼに提出していたことを明らかにした。トゥトベリーゼ自身、ザギトワから数回にわたり競技から離れたいという相談を受け、引き止めていたと話している。

「リンクでの彼女は美しいし、やめてしまうなんて愚かだから」(『激動!フィギュア新時代~女王ザギトワ 引退騒動の真実~』テレビ朝日)

 誓約書を出させてまで現役を続けさせるのが正しいかどうかは、意見が分かれるところだろう。ただその結果、ザギトワは約束を守るべく2019年世界選手権(さいたま)に出場、魂のこもった滑りをみせて金メダルを獲得している。トゥトベリーゼの行動が、“一発屋”と呼ばれたくないというザギトワ本人の意志を尊重してとったものなのか否かは、想像の域を出ない。

 賛否両論を浴びながら突き進むトゥトベリーゼは、自身の最高傑作であるワリエワとともに、北京五輪で再び頂点に立つのだろうか。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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