過去にも米国のタレント、キム・カーダシアン・ウェストさんが19年に発表した自身の矯正下着のブランド名に「KIMONO」という名称を使用し、日本の伝統的な着物を侮辱していると批判の声が殺到したことがある。キムさんは当時、米国の大手紙・ニューヨーク・タイムズで「私のブランドが日本の伝統的な衣服に類似している商品や名誉を傷つけるような商品をデザインしたり、発表したりすることはありません。自分の会社を『KIMONO』と名付けたのはその言葉を日本のルーツから切り離すことが目的ではなく、衣服の持つ美しさやディテールに対する賛美を表すものです」と弁明したが、さらに批判の声が高まったため名称を変更した。

「日本の文化を侮辱したと騒動になったケースを見ると、制作側に悪意があるわけではないというケースもある。ただ、作り手が侮辱でないと訴えても、日本の伝統文化に対する初歩的な知識や理解が足りなかったり、受け手の気持ちに想像力を張り巡らされないと大きな騒動に発展してしまう。今回のミス・ユニバースの一件もイスラエル人のデザイナーは日本の文化をリスペクトする姿勢があったのかもしれないが、右袖が上にくる死装束や、マジックで肌に『日本』と書くのは避けるべきだったかなと。アートの境界線は難しいですが…」(雑誌編集者)

 不快に感じる人が非常に多かった衣装だったという現実は受け止めなければいけないだろう。(勝野直)

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