フワちゃんとともにYouTubeの「フワちゃんTV」を創設し、企画構成カメラを担当している長崎周成さん(撮影/高野楓菜)
フワちゃんとともにYouTubeの「フワちゃんTV」を創設し、企画構成カメラを担当している長崎周成さん(撮影/高野楓菜)
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 長崎周成さんは学生時代に芸人として活動をしていましたが、その後、放送作家の道へ。2018年には、フワちゃんとYouTube番組「フワちゃんTV」を立ち上げ、今では総登録者数100万人を超えました。YouTubeからテレビ、Netflix、CMなど、さまざまな媒体で仕事をしていますが、9月に書籍『それぜんぶ企画になる―うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法』(左右社)を出版。放送作家になって9年、現在31歳の長崎さんに、企画の立て方や仕事論について聞きました。

【写真】「本質を秘めた企画を作りたい」と語る長崎さん

■芸人のスベッた経験が生きている

――長崎さんが放送作家として企画を立てられるとき、芸人だった経験が役立っているのでしょうか?

 演者としての「怖さ」を知っておいてよかったなとは思います。元芸人と言っても、そんなにガチガチにやっていたわけではないんですよ。高校2年生から6年くらい舞台には立っていましたが、途中辞めたりもしてるし。「M-1(M-1グランプリ)」も最高で3回戦に進出するくらい。元芸人と名乗っていいのか、ちょうど悩むラインです。

 でも放送作家になってからも、表舞台に立っていた頃の記憶や感覚が根底にはずっと残っています。だから、自分が振られたら返しづらいフリだったり、ボケ(大喜利)が思いつきづらい、笑いの担保がない企画は出さないようにしています。自分でその企画のボケの例が思いつかないなら、その企画を演者さんにお願いするわけにはいかないですし。舞台上で思いつかなくてスベった恐怖経験が、僕の企画の実現性につながっているのかもしれません。もし放送作家やエンタメ業界の裏方を目指す方がいたら、一度舞台に立ってみることをおすすめします。滑った回数と企画のリアリティーは比例すると思いますので。

■「インサント」を大事にする

――書籍では「インサイト」を大事にして企画を考えているとありました。インサイトとは、お客さん側も気が付いていない欲求まで深く降りていって、その欲求を満たすサービスを提供する、ということだとありますが。

 かっこよく横文字で「インサイト」とか言っちゃってますけど、要はある特定の人にぶっ刺さる企画を考えることを意識しているということです。100万人の人に見てもらいたいと思った時、100万人の好きそうなものを考えるんじゃないんです。100人のうち感度の高い5人に超刺さることを考える。その刺さった人が「めっちゃおもしろい!」と大声で言ってくれるスピーカーになってくれれば、オセロのように概念はひっくり返る。他の人も「こいつがこんなに面白いって言ってるんだからそうなのかな」とか、「ちょっと見てみようかな」となりますよね。そうやって100万人にまで広げていくようにする。映画の「カメラを止めるな!」とかもそういう広がり方だったかと思います。

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面白いけど、ちょっと嫌なことから考える!?