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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、THE ALFEEについて。

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 エリザベス女王の崩御から早3週間。ずっとイギリスの新聞やBBCなどの海外ニュース番組ばかりを観ていたこともあり、国内の情報に対して若干「浦島太郎状態」になっていました。なので、先日立ち寄った書店で目にした週刊朝日の表紙がTHE ALFEE(以下「アルフィー」)だった時には、思わず「え?」と声を出してしまった次第です。

 アルフィーには時代や旬といった「この世の起伏」みたいなものを超越した悠然たる存在感があります。一方で、あの三位一体の「並び」は、決して素通りできない非日常感に溢れています。そもそもこれほどまでに統一性のない3人組を私は知りません。しかしながらアルフィーがすごいのは、桜井さんも坂崎さんも高見沢さんも、それぞれが「アルフィー顔」であるということ。どんなに個性派揃いであっても、大抵のグループはある程度イメージが集約されたり、もしくは誰かひとりがグループの「顔」になっていくことが多いものの、アルフィーに限ってはその法則が通用しない。むしろ見た目の方向性や佇まいがバラバラになればなるほど「アルフィーらしさ」はまとまっていくという、実に摩訶不思議な現象が起きる。そんなグループです。

 THE ALFEE。今年でデビュー48年。「メリーアン」や「星空のディスタンス」の大ブレイクから数えても39年。明菜・キョンキョンが40周年で、郷ひろみさんが50周年であることを考えると、いかにアルフィーが流行り廃りの起伏とは無縁の「日常」であり続けてきたかが分かります。例えば尾崎豊やBOØWYのような神格化や、ユーミンやサザンのような征服感もなく、ひたすら「THE ALFEE」は粛々と歩みを進めてきました。しかも83年の「メリーアン」以降ほぼ毎年、なんと55作連続でシングルがベスト10入りしているというのも前代未聞です。なぜか最近「ここらで一度アルフィーと真剣に向き合うべきなのでは?」と感じ、いそいそとCDを買い集めていたところでの、今回の「週刊朝日表紙事件」。その想いは確信に変わりました。

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