近年、「大人の発達障害」について各方面で話題になることが多くなりました。脳の特性一つですが、社会生活を送るうえで「生きづらい」と悩んでいる人は少なくありません。不登校新聞編集長の石井志昂さんもその一人でした。石井さんはこのほど、診断を受けたそうです。障害を知ることにどんな意味があるのか、そして実際に診断を受けてみてどんなことを感じ、何に気づいたのか。当事者の言葉でつづります。
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40歳を目前にして自分が「発達障害」であることがわかりました。この年になっても「自分に対する発見」をするとは思いもしませんでした。ある程度、自分の好みや性格などは
「わかってきたな」と思っていたからです。しかも、発達障害については断続的に15年間も取材をしてきました。それにかかわらず自分の障害には気がつきませんでした。
発覚してわかりましたが障害について知らないせいで、自分を追い詰めていた部分もあります。一方で知ったことで気が楽になった部分もありました。もしかしたらみなさんのなかにも私と同じように「隠れ発達障害」の人がいるかもしれません。家族や大切な人がそうとは知らずに苦しんでいるかもしれません。発達障害は自分が「生きづらい」「苦しい」と思ったときにそれらを解明する手段の一つになりえます。今回は発達障害とは何かを説明するとともに、当事者になって初めてわかったことをお伝えしたいと思います。また最後には代表的な症状も記します。もしかしたらと思う方がいましたら、その部分だけでも指針としてご参考ください。
そもそも発達障害とは何か。発達障害とは生まれつきの脳の特性で「できること」と「できないこと」の能力に差が生じ、日常生活や仕事に困難をきたす障害のことを言います。発達障害は、ADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の3種類に大別されます。
かんたんに症状を紹介すると、「ADHD」は、不注意が多い、落ち着きがない、多動・衝動性が強いなど。「ASD」は、コミュニケーション方法が独特、特定分野へのこだわりが強いなど。「LD」は知的発達の遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算が苦手など。3種類のうち「これだけが当てはまる」という人は、ほとんどいません。障害の程度や出方は人それぞれちがうので、苦手なことも個々にちがいます。また、発達障害かそうでないかのちがいについても、あいまいな部分が多いです。医師から発達障害だと診断されなくとも、定型発達とも言い切れない「発達障害のグレーゾーン」という層もあります。そしてグレーゾーンでも生きづらさを抱える人が多いです。