
――電子書籍での全集刊行について、読者へのメッセージをお願いします。
『いつもポケットにショパン』『天然コケッコー』などの長編はそのまままですが、他の巻は「わるいおとこ」や「年上のひと」など、担当編集者がテーマを考えてくれました。私にとっても新鮮で楽しいんですよ。そういう切り口があったか、と発見があったり。
それぞれの巻について、いただいたお題から受けたインスピレーションをもとにイラストを描き下ろしています。あとは描いていた頃の気持ちやテーマに関するものについて、メッセージも入れていきます。
最初、デジタルメディアの世界は抵抗があったんですが、気軽に読みたい時には便利ですよね。まだ私の作品を読んだことがない読者の方にとっては、紙の本でいきなり1冊目に手を出しにくいかもしれませんが、デジタルならば試していただきやすいのではないでしょうか。私のことを知らない方にも、ぜひ読んでいただければ嬉しいです。

そして繰りかえしになりますが、発表当時のままのカラーページが載っていますので、昔からの読者の方には懐かしく読んでいただけるんじゃないでしょうか。
新しい形で、読者のみなさんが作品に出会う機会になってくれたら――と願っています。
(構成 ライター・矢内裕子)
※AERAオンライン限定記事