この年の暮れには、現在も未解決の陰惨な事件が起きている。12月30日夜から翌大晦日にかけ、宮澤みきおさん(44歳=当時、以下同)、妻・泰子さん(41)、長女・にいなちゃん(8)、長男・礼君(6)一家が自宅で何者かに惨殺された世田谷一家殺害事件だ。犯人は犯行前後11時間以上も家の中にとどまり、冷蔵庫を開けてアイスクリームを食べたり、被害者のパソコンを操作したりするなど奇異な行動を取ったことが判明している。
07年1月5・12日号「『真相を教えて』被害者の父が初手記『6年目の新事実』」では、みきおさんの父である良行さんが心境を明かした。
事件発覚後、親族からの電話で現場に駆け付けるも、前夜の行動を聞かれるなど矢継ぎ早に質問を浴びせられたこと。遺体確認の際に孫の後頭部に触れようとすると「触らないで!」と強い口調で注意されたこと。警察の冷淡で事務的な対応には違和感があったという。
<私たち遺族にとって、殺人という非現実的な出来事は受け入れがたい大きな衝撃でしたが、警察の人々にとってはありふれたひとこまにすぎないのかと、やりきれない思いが込み上げました>
事件から6年を経てもなお、犯人逮捕に至っていないことについては、こう綴っている。
<発生当初から、私は自分が生きている間に犯人が捕まらないこともあるかもしれないという心の準備を常にしてきたつもりです。最悪の結果も予想し、そうなったとしても仕方がないと、いつも自分に言い聞かせています>
良行さんは12年に肺炎で亡くなった(享年84)。事件は未解決のままだ。
津波による大きな被害などで1万8千人を超える死者・行方不明者を出したのが、11年3月11日に起きた東日本大震災だ。
地震発生直後の被災地を本誌記者5人が取材したのが、3月25日号の「大震災『奇跡の生還』 本誌記者が被災の現場で見た、聞いた 福島・宮城・岩手・青森踏破ルポ」だ。