──もっとも勝ちたいレースは何ですか。
「みんなダービーというので、私は有馬記念(年末のG1)に勝ちたいです」
──今後の抱負を教えて下さい。
「私のレースを見てたくさんの人が感動したと言ってくれているので、これからもたくさんの人に夢と感動と希望を与えられるようなレースをしていきたいと思っています」
──ところで、好きな芸能人は誰ですか。
「平野紫耀さんと中島健人さんです」
──めんくいですね。
「そうです(笑)」
最後は屈託のない18歳の姿に戻ったが、競馬関係者の中では「どんな心臓しとんねん」(テイエムスパーダを管理する五十嵐忠男調教師)と驚くほど、今村騎手は大胆な騎乗を行う。今や「今村オッズ」と言い、今村騎手が騎乗する馬の単勝オッズが騎乗馬の実力以上に下がる傾向を示すほどだ。
そこで、今村騎手がデビューした今春、歴代2位記録であるJRA通算1570勝(重賞126勝)で調教師生活に幕を下ろした名伯楽、藤沢和雄氏(70)に今村騎手について聞いた。
──今村騎手の躍進をどう見ていますか。
「やっぱり勝つということは大変なことで、重賞も取ったんだけど、勝つことが何よりも技術向上の勉強になるんです。騎乗技術がある上手い騎手でも、そういう意味で勝てない子は辛いからね」
──特にスタートの良さは天性のものに見えます。
「どこの国の競馬やコースを見ても、スタートが上手く、良いポジションにつけられることがアドバンテージで、馬と騎手にとって大事なこと。やはりスタート練習も相当勉強しているだろうし、おそらく気持ちが強い子だろうと思います」
──おっしゃる通り、負けず嫌いな強気の性格のようですが。
「勝ちたい気持ちはみんなあるんですけど、その気持ちが人一倍強いんでしょう。騎手は我々が考えている以上に体力を消耗する職業。でも、十分訓練されているようで、今後も勝ち続けるでしょう。是非とも、有馬記念に勝ってトップジョッキーになって欲しい。近い将来、チャンスがくるでしょう」
藤沢調教師からも絶賛された今村騎手。女性騎手の概念を超えた異次元の肝っ玉ルーキーの活躍から目が離せない。
(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日オンライン限定記事