AERA 2022年3月14日号より
AERA 2022年3月14日号より

 NATO拡大に慎重だったウィリアム・ペリー元米国防長官は「冷戦終結とソ連崩壊は米国にとって、対ロ関係を好転させる機会だった。我々はそれをつかみ損ねた」と自著で回想している。今起きている事態は、冷戦終結後に対ロシア戦略を誤り、東西をカバーする安全保障の国際管理に失敗したという現実であり、核兵器が存在する限り核兵器が使われる脅威は決してなくならないという現実だ。

 米ロが対話と信頼を築かない限り、核軍備管理も核軍縮も不可能だ。永遠に悪循環が続く。

 米国は今も原爆投下を謝罪していない。米国を後追いするプーチン大統領が「米国もやったじゃないか」を口実にするような事態だけは見たくない。(寄稿)

AERA 2022年3月14日号