全国各地に大規模接種会場が設置され、3回目のワクチン接種が進んでいる/2月2日、茨城県水戸市
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 新型コロナウイルスに感染歴のある人がワクチン接種を受けると、感染歴のない人よりも強い免疫が確認された。では副反応はどうか。AERA2022年3月14日号から。

【図】ワクチン接種歴別の新規陽性者数はこちら

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 新型コロナウイルスに感染歴のある人がワクチン接種により強い免疫を得られる一方、ワクチン接種後の副反応は、感染経験者の方が強く出る、という報告もある。ロンドン・ユニバーシティ・カレッジなどの研究チームが21年4月に医学誌「ランセット・インフェクシャス・ディジージズ」に発表した論文だ。新型コロナウイルス感染症の症状を自己申告する英国のアプリの利用者のうち、20年12月~21年3月までにワクチン接種を少なくとも1回受けた、62万7383人からの報告を分析した。接種したワクチンはファイザー社製とアストラゼネカ社製だった。

 接種後8日以内に生じた、発熱や頭痛といった全身の副反応の発生頻度は、アストラゼネカ社製ワクチンの1回目接種後は感染経験者の方が未感染者より1.6倍、ファイザー社製1回目接種後は2.9倍高かった。また、接種部位の痛みなど局所的な副反応は、アストラゼネカ社製で1.4倍、ファイザー社製で1.2倍高かった。

 副反応の発生頻度について、本大学医学部血液・膠原病・感染症内科の松岡雅雄教授(ウイルス学)はこう説明する。

「副反応は体内で免疫反応が起きている証しです。感染経験者の方が副反応が多く起きるのは、感染経験者の方がより強い免疫反応が体内で起きているからで、ワクチンを打った方が再感染を防ぐ効果が高いというメリットを考えれば、多少、副反応の発生頻度が高くても、感染経験者もワクチンを打った方がいいです」

 新型コロナウイルスでは、感染してから4週間以上経っても、疲労感や息苦しさなどさまざまな後遺症が残る「ロングCOVID(コヴィッド)」が問題になっている。事前のワクチン接種により、ロングCOVIDを予防できるだけでなく、感染後のワクチン接種で、後遺症を緩和できる可能性がある。

■後遺症のリスク半減

 英健康安全保障庁は今年2月15日、ロングCOVIDとワクチンの関係について報告書を発表した。専門家による評価が終わっていないものも含め、15本の論文を分析した。

 うち8本の論文は、ワクチン接種の有無による、ロングCOVIDの発生状況の違いを調べていた。ワクチン接種を完了した人は、その後、感染しても、感染後4週間以上続く後遺症を経験するリスクが、ワクチン未接種の人に比べてほぼ半減するとみられるという。

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