東浩紀/批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役
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 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。

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 カール・シュミットというドイツの法学者がいる。彼は政治の本質は「友」と「敵」の分割にあると主張した。

 私たちはいままさに、そんなシュミット的思考の再来に直面している。ロシアによるウクライナ侵攻から2週間、世界は突然現れた巨大な「敵」のイメージに翻弄(ほんろう)され続けている。プーチン・ロシア大統領はヒトラーに比較され、全世界の敵となった。

 プーチンの侵攻は隣国の主権と領土を歴然と踏みにじるものであり許されない。核使用を匂わせる脅迫は冷戦後の国際秩序への明白な挑戦でもある。プーチンは国内でも独裁を強めており、報道の自由は失われ逮捕者も相次いでいる。世界秩序の回復にはプーチン政権打倒しかなく、ウクライナへの支援は各国の利益にも適(かな)う。日本も難民の受け入れや人道支援物資の提供など、可能な限りの支援を行うべきだろう。

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