ジャーナリストの田原総一朗氏は、プーチン大統領がトランプ氏の政権復帰を期待していると見る。
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世界中でロシアのプーチン大統領への大批判が巻き起こっている。
今月4日に、ロシア軍は何とウクライナ最大の原子力発電所であるザポリージャ原発を砲撃した。
これはどう考えても常軌を逸している。もしも原発本体が破壊されたら、ロシア側にも大きな被害が及ぶはずである。
何よりも、こんなことをすれば、世界中から大非難を浴びる、とは百も承知しているはずである。
前回も記したが、プーチン氏にとって大誤算が生じたのだ。
プーチン氏がウクライナに軍事介入する以前は、ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率は30%を割っていた。ゼレンスキー氏の下での政界の腐敗に、国民の多くが反発を覚えていたわけだ。
だからプーチン氏としては、軍事介入をすれば、国民の反ゼレンスキー感情が高まり、簡単に親ロシア政権に変えられるのではないか、と考えていた。しかし、軍事介入の結果、ゼレンスキー氏の支持率は91%に跳ね上がってしまったのである。
そして、ウクライナ軍の抵抗は強く、ロシア軍は思うように進撃できなかった。
かといって、ここで進撃を思いとどまったら、戦略の失敗としてプーチン政権は破綻(はたん)し、プーチン氏は逮捕されるなど、身の危険が生じる。ここが、全体主義国の難しい点だが、プーチン氏としてはまったく展望がつかめなくても、進撃を続けざるを得ないわけだ。
米欧の国々は、ロシア軍が民間施設や住宅街にまで攻撃対象を広げていると見ている。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は4日の記者会見で、「ここ数十年の欧州で最悪の軍事攻撃だ」と糾弾し、ロシアによるクラスター爆弾の使用についても主張。ブリンケン米国務長官も6日、「戦争犯罪になりうる民間人への意図的な攻撃について、非常に信頼できる報告を受けている」と語った。