AERA3月28日号から
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 プーチン大統領は2018年のドキュメンタリー番組で「もしロシアの防衛システムが敵のミサイル発射を察知すれば核兵器で報復する」と明言。核攻撃をすれば世界が終わるとの見方には「そう、世界を巻き込む大惨事になるだろう。だがロシアが存在しない世界など、そもそも無用じゃないか」と答えた。

 世界にはなお1万3130発の核弾頭があり、ロシアは最多の6260発を保有する(21年6月現在、長崎大学核兵器廃絶研究センター調べ)。

 では、プーチン大統領が核兵器を使用するとすれば、どういう形がありうるのか。

「特に今後の戦局でロシアが劣勢に立たされたり、経済制裁や武器供与を通じてロシアの国家としての存立が危ういとプーチン大統領が認識したりしたような場合に、限定的な形で非戦略核(戦術核)を使用することで、ウクライナへの軍事侵攻を確実なものとする戦争遂行目的が考えられます」

 元外務省軍縮・不拡散専門官の西田充(みちる)・長崎大教授はそう分析する。ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)との地域紛争において劣勢に立たされた場合、非戦略核を使用し、更なる大規模紛争にエスカレートすることをほのめかすことで、米国を含むNATO軍の紛争からの後退・撤退を促し、結果として地域紛争に勝利することを目指す「エスカレーション抑止戦略」を有するとみられる。

マッハ5以上の新兵器

 20年6月にロシア政府が初めて公表した「核抑止に関するロシア連邦国家政策の基本原則」によれば、「核兵器使用の決定はロシア大統領によって行われる」と明記。「ロシア連邦および(または)その同盟国に対して核兵器および他の大量破壊兵器が使用された場合、また、ロシア連邦に対する通常兵器による侵略により国家存亡の危機に瀕(ひん)した場合において、核兵器を使用する権利を留保する」とし、「軍事紛争が発生した場合の軍事活動のエスカレート阻止ならびにロシア連邦および(または)その同盟国に受け入れ可能な条件での停止を保障する」ことが核抑止の目的の一つに数えられている。

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