アジア最大の格闘技団体「ONE Championship」、10周年記念大会として行われる「ONE X」(3月26日、シンガポール・インドアスタジアム)が迫ってきた。3部構成、全20試合というボリュームの同大会だが、若松佑弥は第3部でアドリアーノ・モラエス(ブラジル)の持つONEフライ級(61.2kg)王座に挑戦する。
会見やSNSで過度に言葉を躍らせることなく、「戦いだけで見せていきたい」と若松は集中する。
「すごく危険な相手で、打撃と寝技が違うだけで僕と同じっすね。僕がストライキングだとしたらあっちはグラップラーで。でも総合格闘技の頂点に立っているので、打撃ももちろんできて危ない打撃を持っているので、本当に“強い生物”として見ています。世界の61.2kgでトップの選手だと僕は思ってます」
ベルトを持つモラエスを若松はそんな風に評する。孤児として育ったモラエスは養子に引き取られ、柔道、カポエイラ、柔術を学んで成長。総合格闘技に進んで2011年9月にデビューするとONEには13年11月から出場し、翌14年9月に初代フライ級王者となる。同王座はその後譲り渡したこともあったが、その度に返り咲きして第3代・第5代王者となり、昨年4月にはUFC王座を11度守った“DJ”ことデメトリアス・ジョンソンを撃破。(第5代王者として)初防衛を成し遂げ、2度目の防衛で若松を迎え撃つ。
「まさかKOだったのでウォォッ!ってなりましたけど、僕は『モラエスが(DJに)勝つ』ってずっと言っていたので“ナイス、やってくれた”っていう感じでした。UFCはスゴいってみんな言うけど、61.2kgのフライ級はアジア人が一番人口が多い、ONEの階級だと思うので、フライ級はONEが最強だと自信を持ってます。だからモラエスはONEの王者として、それを世界に広めてくれたっていう。だから自分も“ここで戦っていてよかった”っていうのはあります」
若松自身は19年3月にDJと対戦し敗れるも、そこから元ONEフライ級王者であるジェヘ・ユスターキオを初回KOするなど5連勝。王座挑戦を手繰り寄せた。