「すべてを諦めたら政治をやってもいい」という“呪文”をかけられ、初婚は40歳、子どもを産んだのは50歳。若い女性に、こんな思いをさせてはいけない──。女性活躍担当大臣の野田聖子氏は、自らの経験からこう訴える。『大学ランキング2023』(朝日新聞出版)では、学生、研究、キャリア教育など、大学を巡るジェンダーの問題について、野田氏に聞いた。
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──女性の大学進学率は年々上昇していますが、国立大や難関大では女子学生比率が低く、東京大学の学部生では2割を切っています。こうした状況をどうみますか。
まず、地方の女子学生が大学進学の際に実家から離れづらいという現状があります。
ひとつはお金の問題。経済状況が厳しい場合、女子学生が東京の一流校に行くというきっかけがなかなかつくれないこともあるでしょう。東京にいると違和感を覚えるかもしれませんが、地方によっては、たとえば「男の子は4年制大学に行かせるけれど、女の子は短大で」というような考え方がいまでもあります。学力の面で男女に遜色がなくても、女性がトップを目指そうという環境は、地方に行けば行くほど遅れているように感じます。
もう一つは、セキュリティーの問題。すべての大学に寮があるわけではなく、地方の親からすると、東京で娘を一人で住まわせるのは心配だということもあるかもしれません。
──そうした問題は、どうやったら解消されるでしょうか。
コロナ禍を経て、教育現場にはオンラインが普及しました。オンラインを使えば、地の利の不便を克服することができます。たとえば「東京大学沖縄サテライトキャンパス」ができれば、生まれ育った沖縄にいながらトップクラスの学びを得る、ということもできるようになるでしょう。
ただ、そもそもの問題として、東大という一校が飛び抜けているところにも問題があります。世界トップクラスの学問に触れることができる環境が、どの地域の大学でもある程度整えば、ピラミッドが平準化され、教育のためにわざわざ東京へ、ということもなくなります。