2005年、筆者と
2005年、筆者と

 94年に帰国した加賀は大阪を拠点に音楽活動を再開。リンドとしてもライブを開催してファンを喜ばせた。「再結成にはファンで声をかけ合って駆けつけました。20年以上経つのにちっとも雰囲気が変わらなくて驚きました。私にとってテッちゃんは永遠の青春のシンボルです」(ファンの女性)

 2000年代以降はテレビや大型イベントへの出演も増え、活動は順調だった。しかし長年の不摂生は確実に身体をむしばんでいた。肺気腫の症状が徐々に悪化する中、ぎりぎりまでステージに立っていたが07年末に入院し、12月30日早朝、ついに帰らぬ人となった。

 亡くなる10日ほど前に、筆者は加賀から「来年はアルバムを作りたいと思ってます。手伝ってください」というメールを受け取っていた。余命を察していたのか、自分の生きた証しになるような作品を遺したいと思っていたのだろうが、時間はそんな願いを許してはくれなかった。今となってはどんな作品を思い浮かべていたのか知るすべもないが、40歳近く年下の筆者にまるで友人のように接し、ミュージシャンとして数々のチャンスをくれた加賀に、せめて愛をこめて本稿を捧げられればと思う。(中将タカノリ)(文中一部敬称略)

瞳みのる(ひとみ・みのる)/1946年9月22日、京都生まれ。1967から1971年までザ・タイガースドラマーとして在籍。グループ解散後、芸能界から引退。解散直後に高校(京都府立山城高等学校)に復学し、1年間の猛勉強で慶応義塾大学文学部に合格。文学部中国文学科を卒業後、同大文学部の修士課程を経て慶応高校で教壇に立つ。2011年に芸能界へ復帰し、ザ・タイガースのメンバーとも積極的に競演する。2022年5月11日には宮城県石巻市のマルホンまきあーとテラスで「瞳みのる石巻応援コンサート」を予定

週刊朝日  2022年5月6・13日合併号

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