※週刊朝日2022年5月20号より
※週刊朝日2022年5月20号より

 ペットフードは水分量が少ない順に、ドライフード、セミモイストフード(半生フード)、缶詰やレトルトパウチに入ったウェットフードの3種類に分類される。このうちセミモイストフードは、プロピレングリコールのような湿潤調整剤やソルビン酸カリウムのような保存料が多く使われる傾向にあるので要注意。

 安全なペットフードを選ぶためには、「何が入っているか」だけでなく、「どこで作られたか」という視点も重要だ。

 07年、北米でペットとして飼われていた犬が腎不全で大量死する事件が起きた。原因は、工業用の化学物質、メラミンで汚染された中国産小麦グルテン入りのペットフードを食べたことだった。メラミンは、プラスチックや肥料の原料となる化合物。中国の業者が、小麦グルテンのたんぱく質含有量を多く見せるために不正に添加していたことが発覚した。

 垣田氏は「日本や欧米では行政が食品の製造や流通をきちんと管理しているが、食の安全への意識が低い国では悪質な業者でも取り締まられずに営業できてしまう実態がある」と話す。

 日本における「国産」表記は、「加熱や成型などの実質的な最終加工を国内で行った」という意味でしかないので、材料の原産地が信頼できる国であるかどうかにも注意を払うとよい。

■「抜け穴」もある国による監視

 また、海外で製造されたペットフードの場合、輸入プロセスによっても製品の安全性が左右される。『愛犬を長生きさせる食事』(小学館)の著者、ノア動物病院グループ院長の林文明氏は、こう指摘する。

「ペットフードは重量があるので、輸送は基本的に船便。特に、個人業者などが正規代理店を通さずに輸入する場合、温度や湿度が管理されていない劣悪な環境で数カ月かけて運ぶケースもある。いくら酸化防止剤が入った製品でも、そんな状態で保管されたら油が酸化し、食べたペットがおなかを壊すこともある」

 日本における犬猫用ペットフードの製造や輸入販売は、前述の“メラミン事件”をきっかけに整備され、農林水産省と環境省が所管するペットフード安全法によって規制されている。

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