日没後の西の空には沈み行く冬の星座の姿があり、季節の移り変わりを告げています。
4月初旬から、西の低空で水星が観測の好機となります。水星の上方には明るい金星、さらに高い空には火星が輝き、下旬には細い月が2つの惑星を巡り、美しい眺めとなるでしょう。4月20日には、関東以西の一部の地域で部分日食が見られます。
今回は、4月に注目したい星空情報をご紹介します。
【4月12日】水星が「東方最大離角」。今年いちばんの観測の好機!
水星は太陽に最も近い惑星。そのため、地球から見ると太陽から大きく離れることがなく、観測が難しい天体といえます。内惑星が最も太陽から離れる時を「最大離隔」といい、この頃が観測のチャンスです。
今回は、地球から見て水星が太陽の東側に位置する「東方最大離角」となり、夕暮れの西の空で見頃となります。東京での日の入り30分後の水星の高度は、12日が最も高く12度台に。5日から18日にかけては10度を超えるため、肉眼で水星を見ることができるでしょう。
水星の上方の空には、明るく輝く金星があります。金星を目印にすると、水星を見つけやすくなります。西から西北西にかけて、視界が開けている場所から観察しましょう。
【4月20日】関東以西の一部地域で「部分日食」。次回は7年後
日食は、月が太陽の前を横切り、月が太陽を隠す現象です。20日の午後に日本の一部の地域で、月が太陽の一部を隠す「部分日食」が起こります。部分日食が起こる地域は、南西諸島、九州地方南部、四国地方南部、近畿地方南部から関東地方南部にかけて、伊豆諸島、小笠原諸島になります。
肉眼で直接太陽を見ると、短い時間であっても目を痛めてしまいます。日食グラスなど、専用の観察器具を正しく使って観測することが必要です。
次回、日本で見られる日食は7年後の2030年6月1日。日本全国で部分食となり、北海道の大部分では金環食となります。
◆国立天文台「日本国内のおもな地点における日食の予報」
◆国立天文台「日食の安全な観察方法」
【4月23日・26日】西の夕空で、月が金星と火星に相次いで接近
23日に、月齢3の細い月がマイナス4.1等級の明るさで輝く金星に近付き、目を引く光景となるでしょう。26日には、月は姿を変えながら、天空高く輝く火星のそばに移動します。月の近くには、ふたご座のポルックスとカストルが輝き、明るい星たちとの共演が楽しめます。
その他には、6日の満月「ピンクムーン」、11日前後に起こる金星とプレアデス星団の接近にも注目してみましょう。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年4月)」