ジャズピアニストの山下洋輔さんが1969年に演奏した「伝説のライブ」を再現するイベント「村上春樹 presents 山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」が7月12日、早稲田大学で開かれた。学生運動で殺気立ち、バリケードで封鎖されたキャンパスでのライブを当時、山下さんに提案したのがテレビディレクターだった田原総一朗さん(88)。作家・村上春樹さんと「再乱入ライブ」を手がけるTOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが語り合った。
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延江:あれから五十数年たって今度は大隈講堂でライブをやるんですが、チケットは完売です。僕たちは実際にお客さんが集まるかと心配だった。でも瞬く間に売れてしまった。なぜでしょう?
田原:日本は今、空気を読む時代なんですね。空気を読まないと生きていけない。これは非常に良くない。コロナ禍とはいえ、他国がマスクを外している中、日本中みんなマスクをしている。こんな国は日本だけなんだ。そういう「右にならえ」の空気感を壊したいという思いがあるのかもしれないね。
延江:フリージャズが既成の概念を打ち破るものだとしたら、今回のライブに関しては、単に懐かしさだけでなく、パンデミックやウクライナの問題、がんじがらめになっている格差の問題だとか、どこか窮屈な時代に対して活路を求めたい機運があるんでしょうか。
田原:それは若者にあると思う。