IoTのインターフェースになるのがスマートフォンだ。IoT関連投資の増加とともに、スマートフォンの機能向上はこれまで以上に重要性を増す。アップルの供給能力を上回るiPhoneへの需要が発生していることはその裏返しだ。また、今秋にもアップルは新型のiPhoneやiPadを発表するとの観測がある。
多少の価格の調整を伴いつつも、最先端の民生機器分野において、より小型、かつ消費電力性能の高い演算装置への需要は増すだろう。そうした展開に対応するために、年内にTSMCは次世代の回路線幅4ナノメートル(ナノは10億分の1)のチップ生産の開始を予定し、さらに先端の3ナノまでロジック半導体の製造枠が予約で埋まっているとの観測もある。
目先、DRAMの需給がいくぶんか落ち着き、それが世界の半導体関連企業の株価に調整圧力をかける可能性はある。ただし、メモリもロジックも一様に、需給バランスが落ち着き、緩むというよりは、最先端分野のロジック半導体の需給はタイト気味に推移する可能性がある。
■韓国経済の減速懸念は徐々に高まる恐れ
今後、韓国経済の減速懸念は徐々に高まる可能性がある。
5月に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は世界トップレベルの半導体強国を目指すと述べた。その意味は、韓国経済が中長期的な視点で成長を目指すために、サムスン電子のファウンドリ事業の重要性が一段と高まることだ。半導体強国の実現に向けてサムスン電子の事業運営は強化されなければならない。それが、文政権が同社のイ・ジェヨン副会長を仮釈放した理由だろう。
サムスン電子は、ファウンドリに加えて自社ブランドでの家電、スマートフォン、メモリ半導体事業を運営している。企業としての意思決定のスピードという点ではTSMCのほうが有利だ。最先端のロジック半導体の受託製造分野で、サムスン電子がTSMCとの競争力の差を縮めることは容易ではない。そうした見方から、DRAM価格の調整とともにサムスン電子株は売られた。