■「一枚岩」ではなかった
20人造反組は、トランプ氏の指示を聞き入れなかった。20年大統領選の結果は「(票は)盗まれた」と信じてはいるものの、トランプ氏の下、一枚岩というわけではない。トランプ氏の党内支持率が下がり、子飼い議員も従わず、同氏の面目もつぶれた。
実は、下院共和党のリーダーは歴代、辛酸をなめている。前院内総務のポール・ライアン氏は、当時のトランプ政権とソリが合わず、任期満了で政界をも去った。前々任者のジョン・ベイナー氏も、強硬派の圧力に屈して辞任している。共和党の穏健派と強硬派の対立は以前から根深い。
これに対し、民主党のペロシ氏は、20年近くにわたり院内総務を務め、初の女性下院議長として通算4期を全うした。
マッカーシー氏は、就任演説で語った。
「私の父はいつもこう言っていた。物事は、どうスタートを切るかではない。どう完了するかだ、と」
しかし、20人もの反対派を抱えたマッカーシー氏が、2年間の議長任期を無事に終えることができるかどうかは不透明だ。
一方、民主党の優越感は、共和党の迷走を横目に「ポップコーンを議場に持ってきた議員もいた」(米紙ニューヨーク・タイムズ)ほど。ところがそれも日しか続かなかった。
下院が正常化した9日、バイデン大統領が副大統領だった時の機密文書が昨秋、私的なオフィスから見つかっていたと、CBSが伝えた。バイデン氏の弁護士らが認めたとし、CNNは、文書は12点に満たないとしている。場所は、同氏が17~19年に名誉教授を務めていたペンシルベニア大学のオフィスという。発見された後、弁護士らは国立公文書記録管理局に通知し、文書は翌日、公文書記録管理局に戻された。
■なぜ公表しなかった?
問題は、文書が発見された時期で、昨年の11月2日。中間選挙投開票日の6日前となる。CBSが報道するまで、なぜホワイトハウス側から公表がなかったのか。メリック・ガーランド司法長官は、連邦検察に調査を要請している。
機密文書の持ち出しについては昨年8月、トランプ氏のフロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」が、米連邦捜査局(FBI)の捜索を受けた。国立公文書記録管理局などが返却を要請したのを半ば無視したため、捜査令状が出され、300点を超える文書が押収された。この問題について、ジャック・スミス特別検察官が捜査を進めている。