感染拡大に対する不安はどうか。アンケートでは強い不安の意識が浮かび上がった。「五輪の開催期間中に『第5波』となる不安があるか」と尋ねたところ、「不安がある」が95%、「不安はない」が3%、どちらでもないが2%だった。
アンケートに寄せられた不安の声を一部紹介する。
「ちゃんと対策をとったから感染が増えないのであれば、今頃感染者は減少しているはず。確実に感染者は増えるし、最悪の場合は、国がその人数をオリンピックが終わるまで隠すのではないかという疑念がある」(女性、39歳、東京)
「『安全・安心』の根拠がない。2回のワクチン接種後に入国した選手が感染している。オリパラ関係者の行動管理の実態はザル。海外では無観客で開催したブラジルのサッカー大会で選手の感染が相次ぎ、G7が開かれたイギリスでは感染者急増など、『危険・不安』の根拠しかない」(男性、67歳、東京)
「国内のワクチン接種率の低さと、水際作戦やバブル方式だの穴だらけの対策を信用できない」(女性、59歳、女性)
こうした不安の声が多数挙がるのも無理はない。実際、東京都での2日の感染者数は660人で前週の同じ曜日より98人の増加だった。13日連続で前週の同じ曜日を上回っている。明らかに増加傾向が見受けられる。
さらに、インドで猛威を振るったデルタ株が、国内でも感染が広まりつつある。京都大の西浦博教授らの分析によると、デルタ株の国内での感染力は従来のものより1・95倍あると推定されている。さらに新たな変異株「デルタ・プラス」も現れている。
こうした状況に対して、政府らは国民に自粛を求めるとともに、来日する選手やその関係者、海外メディアなどへの空港での水際対策を強化し、また、その後の行動を厳しく管理することで国内での感染拡大を防ぐとしている。
先の勝田教授は、選手らの行動管理については限界があると指摘する。
「海外から国の代表としてやってくる人は、周囲の関係者を含め特権階級として扱われている人が多い。特に途上国ではそうです。そうした人たちの行動を制御するのは困難でしょう。違反した人を国外強制退去やメダルはく奪にするということですが、途中で敗退した人や試合が全て終わった人はそのようなことは気にしない可能性もある。管理にも限界があります」
これらのことも踏まえ、今後の感染者数の推移について、こう見る。
「デルタ株の影響でこれから感染者は確実に増える。デルタ株の症状は従来のものより軽症化しており、イギリスでは感染に気づかず、出歩いてしまう人が多いようです。五輪開催で自粛の雰囲気が緩まるのは本当に危険な状況です。私なら中止を決断するような状況ですね」
(AERAdot.編集部 吉崎洋夫、岩下明日香)
>>【後編/【独自】東京五輪1000人緊急アンケート 学校観戦は『子どもが生贄か』親の8割が猛反発】はこちら