林眞須美死刑囚(C)朝日新聞社
林眞須美死刑囚(C)朝日新聞社
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 1998年7月、和歌山市園部の夏祭りでカレーを食べた63人が急性ヒ素中毒、4人が死亡した和歌山カレー事件で、死刑判決が確定している林眞須美死刑囚が6月16日、再審請求を申し立てたことが明らかになった。

【写真】亡くなった林眞須美死刑囚と健治さんの孫のBさん

 眞須美死刑囚の弁護人、生田暉雄弁護士は同日、記者会見し、こう訴えた。

「これまでのヒ素への疑念を主張している再審とは違い、亡くなった4人の方々の死因に絞って請求しました。本当にヒ素が凶器となった犯行なのか?刑事記録を調べると、捜査当局の捏造した証拠、デタラメな裁判の経緯も明らかになった。日本の司法はこれでいいのかと思い、眞須美死刑囚の再審請求の裁判を引き受けました」

 眞須美死刑囚は2009年に再審を請求し、現在は最高裁に抗告している。
今回の再審請求はすでに提出されている再審請求と内容が違うという理由で和歌山地裁に認められた模様だ。受理日は5月31日付。

 会見では6月9日、関西空港連絡橋から飛び降り、亡くなった眞須美死刑囚の長女とみられる37歳のAさんとAさんの次女(4)、自宅で変死していたAさんの長女Bちゃん(16)についても質問が出た。

「6月13日夜に眞須美さんから長女(Aさん)が亡くなったのではないかという内容の電報が届きました。しかし、まだ面会しておらず、詳細はわからない。しかし、お亡くなりになられたのは間違いなさそうだ」(生田弁護士)

会見する生田暉雄弁護士(撮影・今西憲之)
会見する生田暉雄弁護士(撮影・今西憲之)

 和歌山県警によると、眞須美死刑囚の長女、Aさんは自分の次女を道連れに自殺したとみられている。Aさんの長女で眞須美死刑囚の孫になるBちゃんの変死は、虐待事件の可能性も想定して捜査が続けられている。Bちゃんが病院に運ばれた時に付き添い、一時、行方不明になっていたAさんの夫から事情を聞くなどしているという。

 亡くなったBちゃんを小学校で教えたことがある教諭はこう語る。

「Bちゃんはちょっと控えめだけど、人を思いやれるいい子でしたよ。ニュースでBちゃんが亡くなったと聞いて、ビックリするばかりでした。元気だったBちゃんの姿は今も瞼に浮かびます。信じられません」

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虐待死が疑われる孫の卒業文集