米国の仮想通貨交換業者最大手のコインベースは4月14日の上場初値が381ドル、一時429ドルまで上昇後、328ドルで引けた。その後も荒い値動きが続いている(写真:gettyimages)
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 暗号技術を使ってネット上で取引される仮想通貨が再び沸いている。なぜ高騰? いくらから買える? どこで買う? 基礎知識を総ざらいした。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号から。

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 コロナ禍で、株式市場よりも上がり続けているのが仮想通貨(正式名称は暗号資産)だ。

 ブロックチェーンという暗号技術を使った“目に見えない通貨”だが、金融庁の資金決済法改正で仮想通貨が日本に姿を現したのは2016年5月。仮想通貨の代表格、ビットコインは当初2年で200万円台まで上昇した。「ビットコイン長者」という言葉も生まれたが、その後の急落もあり、鳴りを潜めていたのだが──。

 第2次ブームがやってきた。きっかけとなったのは新型コロナである。ビットコインは昨年2月に110万円前後で推移していたが、株価の大暴落に連動して50万円台に。ここで世界中の中央銀行が市場にカネをばらまいたことが起爆剤になった。年をまたいで300万円を突破、今年3月に600万円台。4月14日の基準値で一時704万円をつけ、同時期の交換業者の販売レートでも700万円超の価格が見られた。その後は調整気味だが、ビットコイン以外の仮想通貨も好調だ。

■ペイパルの決済通貨に

 3月30日にはオンライン決済大手の米ペイパルが、普段の買い物をビットコインなどの仮想通貨で支払えるサービスをスタートした。4月14日には、ナスダック市場で米仮想通貨交換会社の最大手コインベースが新規上場を果たしたことも、価格上昇の原動力になった。同社の株価はナスダックが示した参照価格250ドルをはるかに上回る初値381ドルを記録。会社の規模を示す時価総額は初値換算で約8兆円だ。上場初日に日本最大の金融機関、三菱UFJフィナンシャル・グループと肩を並べるほどの「値段」がついたことになる。仮想通貨の取り扱い銘柄が国内最多の交換業者、コインチェック代表取締役の蓮尾聡さんに聞いた。

「仮想通貨そのものや、その背景にあるネット上の暗号技術は今後、ますます普及していくでしょう。米国では、機関投資家や富裕層の間でも資産の一部を仮想通貨で持っておこうという機運が高まっています」

 コロナ禍で、リスク分散の定番である“金”と似た値動きをしたことから、仮想通貨は“デジタル・ゴールド”と呼ばれるようにもなっている。

「日本ではどうしても『投機的』という色眼鏡で見られていますが、将来価値が上がるであろう資産を少しでも保有しておくことは、本来の資産形成にとって良いことです。ただ、いっぺんに資産の大半を投じるような投機的な売買はおすすめしていません。10万円程度で試しに買って、長期的な成長を気長に待つ。または積み立てで購入してゆっくり眺めるといった投資スタンスがいいと思います」

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