長期的に株価が低迷している会社だったら、それは経営者の経営判断が悪いのか、そもそも産業構造がダメなのか、それとも競争環境が悪化しているのか、というように自分なりに考えることが大事です。
ウォーレン・バフェットやその師であるベンジャミン・グレアムという、長期投資の世界で伝説になっている大投資家は、「株価は長期で見れば秤(はかり)のようなものだ」と言っています。したがって、長期趨勢的に株価の下落が続いている場合は、その会社に何かネガティブなことが起こっていると考えてほぼ間違いありません。
●暴落している今の相場だからこそチャンス
株価を知るだけで、話はどんどん広がっていきます。実際に投資していたら、自分のお財布の中身が株価に連動してきますから、なお一生懸命、投資先の会社の動きを見るようになるでしょう。
だからこそ、株式投資をお勧めするのです。それもデイトレードではない、ちゃんと会社の事業に長期投資するスタンスの株式投資です。このことは、あなたのお財布を厚くするだけではありません。働き方そのものが変わることで、会社内での評価もきっと上がるでしょう。
たとえばあなたが営業に配属されて、ある上場会社(A社としましょう)に新規アプローチしているとしましょう。そのA社を株主の視点で分析するのです。A社が属している産業構造はどうなっているのか、A社の競争力の源泉はどこにあるのか、長期的な潮流はあるのか、などなど、もしA社株式を買うとした場合に調べなければならない論点をまとめてみるのです。
おそらく、最初は的を射た論点整理にはならないでしょう。それで良いのです。まずその時点で先方の担当者にぶつけてみて、議論することによってA社の理解を深めていくことが、営業する上では何よりも重要です。そうして理解がすすんでくるとA社が業界内でどういう位置にいて、どのような課題を抱えているのか、どうすれば業界内の優位性を出せるのかといったことが見えてくるはずです。その上で自分のところと取引することのメリットをそのまま営業で伝えれば良いのです。
もし、その話が現場の課長には刺さらなかったとしても、恐らくそのプレゼンを受けた課長は部長にその案件を上げるはずです。部長でもダメなら役員がいます。役員は常にそういうことを考えていますから、必ず興味を示すはずです。ここまで来たら、ほぼ間違いなく商談成立になるでしょう。ビジネスを見る目を養うのに、株式投資は非常に有効な手段なのです。
それでも、「株式投資に回すお金なんてどこにもない」と思っていませんか。
ある1社の株式を買うのに100万円以上必要だった時代もありましたが、あれはバブルピークで株価が非常に高いうえに、1000株を1単位として売買しなければいけなかった時代の話です。
今は随分と安いですよ。すべての企業が100株で買えるようになっていますから、日本を代表するような大企業の株式でも数十万円単位で投資できるものがかなりあります。その他、ミニ株投資制度などを利用すれば、数万円単位で株式に投資できます。株式投資は皆さんにとって、決して縁遠いものではないのです。