ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「武尊那vs.須川天心」について。
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キックボクシングK-1の武尊さんとRISEの那須川天心さんによる「他団体頂上マッチ」が行われ大盛り上がりを見せました。8年越しで実現した対戦ということもあり、ネットテレビで50万人以上の人が有料観戦したとか。結果は、この試合をもってキックボクシングからボクシングへの転向を表明している那須川天心さんの判定勝ち。
かく言う私も1日遅れで観ました。いわゆる真っ当な格闘技ファンの男性たちとはかなり違った角度と熱量で観ていることもあり、専門的な感想を書くのは控えますが、とても見応えのある試合だったと思います。
ボクシング、キックボクシング、総合格闘技、プロレス、相撲など。裸の男同士が密着する系の競技というのは、私にとって「性の目覚め」であったと同時に、今もなお「性の象徴」のひとつです。当然それは長らく誰にも明かせない自分だけの秘め事として、ずっと「普通の顔」をして観てきました。不純以外の何ものでもありません。しかし、そうは言っても40年以上も観続けていると、いつの間にか競技本来の面白さや自分なりの「好き嫌い」が、エロ視点以外の部分でも培われ、今では7:3ぐらいの割合で、それなりに本質を楽しめているつもりです。
そして、今回の「武尊vs.天心」。いかんせん御両人ともに見目麗しく、それぞれタイプの違う「好みの男」であることもあり、久しぶりに「エロ9割強」の熱量で観させて頂きました。まず試合前のハイライトと言えば「計量」です。これはボクシングや格闘技系でしか拝めない生唾ものの光景であり、選手の肉体をコスチュームやサポーターなしの状態で観られる大変に尊い儀式。いくら対象が男性だからとは言え、こんなことを書いたら訴えられる日も遠くはない気もしますが、褐色の武尊・色白な天心、まさに眼福でした。