世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■今さら聞けない風俗の疑問「置屋」って何?
先日、旅仲間と話していると、「置屋とはなにか?」という話になった。ある旅仲間は、旅先で知り合った20代の若者に風俗に関する質問をされたらしい。彼が武勇伝を交えて説明していると、「置屋ってなんですか?」と聞かれたという。「売春宿」と答えると、「じゃあ売春宿でいいじゃないですか」と言われ、返す言葉がなくなってしまったそうだ。その若者の言うことももっともである。
置屋は簡単に言ってしまえば、「店内で女性を指名してプレイするお店」のことで、日本で言うところの店舗型の性風俗だ。「芸者・娼妓(しょうぎ)をかかえておく家」というのが言葉の元々の意味で、日本語として存在していた。だがいつからか、海外の風俗でBrothelなどの売春宿を示す言葉を「置屋」と言うようになったものと思われる。
まあそれを知ったところで、大して役に立つとも思えないが。
■こんなところに民家があるなんて
置屋と言われて思い出したのが、香港での取材だ。ピンと来ない人が多いだろうが、風俗好きな友人に言わせると、香港では風俗が盛んだという。
おすすめされたのは「香港141」。マンションのフロアがほぼすべてお店になっているという。まず「オープン」と書かれた看板が出ている部屋のベルを鳴らす。中から出てきた子が気に入ったら部屋に入り、嫌だったらそのままドアを閉める。なんだか、相手に申し訳なくなるシステムだが、風俗好きには、そこが良いらしい。ビルに置屋が入っているようなものだ。
私も取材で香港を訪れた際に、怖いもの見たさでフロアだけ覗いてみた。街なかにあるビルのフロアがピンク色のネオンで光っているので、詳しい人が見ればすぐにわかるらしい。友人に教えられたビルをあがると、薄い赤の照明に照らされたフロアがあった。ドアには「オープン」という札が下げられているが、なかには「住宅」のメモが貼られた部屋も。
きっと、店と間違えられて何度もベルを鳴らされたのだろう。出入りするときに客と間違われることもあるのだろうかと、妙な心配をしてしまった。(文/丸山ゴンザレス)