オリンパス OM-D E-M1 Mark II・17ミリ F1.2・ISO400・絞りf4.5・AE・-0.7補正(撮影/清水哲朗)
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オリンパス OM-D E-M1 Mark II・17ミリ F1.2・ISO400・絞りf4.5・AE・-0.7補正(撮影/清水哲朗)

「警察を呼ぶ」「データを消せ」。カメラを手にして歩いているだけで不審者扱いもされかねない時代。路上スナップ撮影を怖いと思っている人は少なくありません。もしも実際にトラブルに直面したら? 回避策は?『アサヒカメラ11月号』では、「スナップは怖くない」と銘打ち、プロが教える“いまさら聞けない”スナップ撮影の基本から、路上撮影トラブルの実践的対応術までを72ページに渡り大特集。

【「スナップは出会いの記録」写真はこちら】

 前回の記事「木村伊兵衛賞作家・百々新が語る『スナップの極意』」に続き、今回も、名スナップシューターとして知られるプロが各々の設定や極意を披露。写真家の清水哲朗さんが明かしたスナップへの思いとは? この特集を読めば、カメラを持って街に出たくなること請け合いです。

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 日常や出先で見た光景を記録しようとレンズを向けることはある。しかし、スナップを撮ろうと覚悟を決めて出かけることは記憶の限りない。もちろん、依頼仕事であればそうせざるを得ないが、撮ることよりもその土地や存在するものへの興味が常に上回っており、ギラギラと獲物を探すような目つきはおそらくしていないと思う。

 知らない土地ではとにかく縦横無尽に歩き回るが、それは好奇心をあおるものがどれだけあるのかを確認しているだけで、撮影は二の次。それでもここだと思った場面に遭遇し、触発されると「こんな瞬間だったら面白そう」というイメージが浮かび一気に戦闘モードへ突入。バッグからカメラを出して理想のイメージを狙いに行ってしまう。いったんスイッチが入ると気がすむまでひたすら撮り続けてしまうのは写真家の性かもしれない。

 スナップ撮影に使うカメラは「なるべく小さなもの」と決めている。周囲に警戒心を与えないことと機材が重いことでの無駄な疲労や撮影意欲の低下を防ぐためだ。

 今はオリンパスのミラーレス一眼を愛用。雨や雪、砂ぼこりにも負けない強靭な防塵・防滴・耐低温性能と2秒前後でも手持ち撮影できてしまう強力な手ぶれ補正、被写界深度の深さが自分の作品スタイルとマッチしている。内蔵のアートフィルターを使って気分を高めながら撮影することも少なくない。

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「なぜこの距離、この瞬間、この情報を入れたのか」