猫の世界にも、映画やテレビドラマを彩るスターがいる。約40匹の猫をはじめ、犬、ウサギ、ポニーなど数々のタレント動物を抱えるプロダクション、グローバル・アニマルアクト(茨城県稲敷市)を訪れると、のんびりとオフの日を満喫する看板猫たちの姿があった。
【写真】出演作品数ナンバーワンの売れっ猫(こ)の「ぽんず」はこちら(他あり)
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サッカーコートより大きい、約8千平米の敷地をもつグローバル・アニマルアクト。広大な草っぱらでは、芝居に必要な動きをのびのび練習できる。
社長の菊田秀逸さんによると、優秀な俳優猫の条件は「大人数のなかでも動じない」「誰でも抱っこできる」「待てができる」こと。視線を5秒キープするだけでも一苦労と言われるなか、菊田さんは猫の心を読み、おもちゃを見せたり名前を呼んだりして視線や歩き方を誘導する。ベテラン猫は、その口調から「今はちゃんとやらないと怒られるな」などと察するそう。
絵コンテどおりにポーズをきめる“奇跡のショット”は、雰囲気がいい現場で生まれる。人間以上に空気を読むからこそ、少しでも動物の扱いが雑な撮影には「うちの子は出さない」。
欧米に比べ、日本では動物の出演料が安い。「命を守るにはお金がかかる以上、意識改革を進めたい」と話す菊田さん。「自転車操業だけど、プロダクションは動物の可愛さや素晴らしさを伝えられる仕事」と、胸を張る。
■岩合光昭さんも大絶賛の名優
ベーコン 7歳/オス 出演代表作:映画「ねことじいちゃん」
いつも穏やかで、機嫌が悪いことがない。「ねことじいちゃん」の撮影では、主演の立川志の輔さんをメロメロにした。だが、女性好きなベーコン。共演の柴咲コウさんが現れると立川さんの膝から飛び降り、駆け寄った。