猫飼いなら、「もしも自分に何かがあって猫が残されたらどうなるのか?」ということを考えたことがあるのではないだろうか? そんなもしもの時に備えてできることや、もしもに遭遇してしまった体験談から、できることを考えてみる。
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今年7月、インターネット上で「ねこヘルプ手帳」の販売が始まった。飼い主の緊急時に家の猫を守ることを目的とした、猫の“母子健康手帳”だ。発案、販売したのはイラストレーターのオキエイコさん。2匹の保護猫を飼っている。制作のきっかけは、一人暮らしで猫を飼う友人の一言だった。
「自分にもしものことがあった時、家の猫に周囲の誰も気がつかずに放置死させてしまうと思うと恐ろしい」
そう不安を口にする友人に対し、何かできることはないかと考えたオキさん。手始めにスマートフォンの待ち受け画像を作った。猫のイラストに「おうちに大切な家族がいます。私になにかあったら気にかけてもらえると幸いです」と記したものだ。これを設定しておけば、パスワードがなくても誰かの目に留まる。
しかし、猫のことを本格的に託すのであれば、自宅の住所やかかりつけ医の名前など、より多くの情報が必要になる。
「待ち受け画面に全部載せると、個人情報丸出しになってしまいます。そんな時、私が双子を妊娠して母子健康手帳を見ている時に、これだ!とひらめいたんです」
オキさんはツイッターを通して、猫を飼っている人の意見を集めた。そして手帳には猫砂やフードの種類、食事のタイミング、保険の有無などが書き込めるようにした。これを持ち歩けば、もしもの時に猫の存在に気づいてもらいやすくなる。
「猫砂の好みなどは自分では気づきませんでしたが、猫にとっては大切な情報。好みを伝えたほうが、環境の変化によるストレスも軽減できます」
完成した手帳をネットで発表したところ、1千冊以上もの予約が舞い込んだ。犬や他の動物にも対応した手帳もほしいとの声が高まり、「いぬヘルプ手帳」「どうぶつヘルプ手帳」も作った。