
大阪芸術大学在学中に「劇団☆新感線」に参加し、役者のキャリアをスタート。現在では舞台はもちろん、数々のドラマや映画にも出演する筧利夫さん。年明けには主演映画「近江商人、走る!」も公開される。そんな筧さんが映画への思いから自身の意外な健康法まで明かした。
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子供の頃は、月に2回程度、父と一緒に街の映画館に出かけていって、2本立ての映画を観るのが楽しみだった。
「小松左京さん原作の『エスパイ』とか、山口百恵さん主演の『伊豆の踊子』とか。娯楽映画とアイドル映画の2本立てが多かった気がします。新年になると、親父と『男はつらいよ』と、併映でかかっていたドリフの映画とかを観て“初笑い”していましたね」
「近江商人、走る!」も“お正月映画”。若い出演者に若いスタッフが作ったにしては、「寅さん」にも通じる、昭和の笑いと活気に溢れている。
キャリアを重ねていく中で、若手に伝えたいことは何かあるかと聞くと、「映像ではない。舞台ならある」という。

「舞台の演技って、どうしても技が必要なんですよ。ボクシングを知らなかった人が急にボクシングの大会に出ても試合できないのと同じで、舞台の場合はそれ用の技とか型とか考え方っていうのが存在する。映像もたぶんあるんだろうけど、映像のほうがもっと『個』によるところが大きい。最終的に監督の判断で全部編集されるわけで、どれが正解かは監督個人の好みやセンスに委ねられてしまいますから」
ドラマでも、自分が「よし!」と思ったカットが使われていないことなども何度となく経験した。
「だから、だんだんね、あんまり自分の出ているドラマのオンエアを観なくなっちゃった(笑)。昔はもう時間があればテレビの前にかぶりついて、重箱の隅をつつくようにして自分の演技を中心に全部チェックしたんですけど。最近は、だいぶ後になって、もう現場での残像がなくなってきた頃に観ます。あ、でもツイッターだけはオンエアの直後にチェックします。それだと、『面白かった』『やりすぎ』とか、すぐダイレクトな感想がわかるから」