仕事で高い成果を上げるためには、成果が上がらない仕事は後回しにして、確実に成果が上がることに集中するしかありません。
そのためには、常に自分の仕事を数字で検証し、仕事の優先順位付けをして、高い成果が上がるものから実行することです。
仕事をしている中で、こんなふうに思ったことはないでしょうか。
「今、何のためにこの仕事をしているんだっけ?」
こう思ってしまうのは、まさに今何のために仕事をしているかわかっていないからです。それは目的がはっきりしていないから、その仕事の意味合いがわかっていないから……といろいろな理由がありますが、根本的な原因は、仕事の優先順位がわかっていないことです。
優先順位がわかっていないということは、仕事にムダがあり、何をすれば仕事で成果が出るのかがわかっていない状態です。
ソフトバンクでは、数字で物事を管理するとお伝えしました。この数字で管理することで、ある仕事が目標達成にどう関係しているのかが見えてきます。
それがわかれば、その仕事を今やる必要があるのか、実はほかに成果に直結する仕事があるのではないか。この仕事のこの部分はムダかもしれない。そうしたことがわかってきます。
すると、仕事の「(1)ムダがなくなる」わけです。
1つひとつのプロセスを数字で管理していくことで、自分の仕事が「見える化」され、優先順位も見えてくる。成果に直結する行動を社員がとれば、組織のムダがなくなり、成長スピードは当然速くなります。
●なぜソフトバンクの社員は「モチベーションが高い」のか?
社員のモチベーションは企業が成長する最大の原動力です。企業の成長は社員のモチベーションをいかに高めるか、ここに懸かっていると言っても差し支えないでしょう。
そしてソフトバンクの社員は、常に「(2)高いモチベーション」を維持しています。
なぜ、それが可能なのか。その答えの1つは「経営者の姿勢」にあります。
私は、経営者には2つのタイプがあると考えています。
トップの考えだけで会社を動かす「独裁型」のワンマン経営者と、社員1人ひとりが考えることを促す「ユニット型」の経営者です。
意外にも、孫社長は「ユニット型」経営者です。カリスマ的な経営者なので独裁型と思われがちですが、何もかもトップダウンで決定するわけではありません。
では、「独裁型」と「ユニット型」にはそれぞれどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
孫社長と同じように、カリスマと呼ばれた経営者は過去にも多数存在します。
先ほどお話ししたダイエーの中内氏は、まさに独裁型経営の典型です。しかし、このやり方では結局社員のやる気は落ち込み、組織の元気も失われてしまいます。
なぜなら、働いていて最もストレスが溜まるのは、「人から言われたことをただやるだけ」という状態だからです。
「この仕事は本当に意味があるんだろうか」と思いながら、上司に指示されるまま深夜まで残業することほど、つらくて虚しいものはありません。
一方、孫社長ならどうでしょうか。
ユニット型の経営は、一見すると社員の負担が大きいように思えるかもしれません。
しかし、社員1人ひとりが自分で考え、「自分のアイデアが成功して、今日は昨日より2割も売上をアップできたぞ!」と日々の成果を実感できれば、前向きに仕事に取り組めます。
この孫社長の「経営者としての姿勢」と、孫社長からの高レベルの要求に応えるだけの仕組みを社員が持っていて、「自分の努力や工夫によって結果を出しているという実感を持てる」、この2つがあるから、ソフトバンクの社員のモチベーションは高いのです。
この実感の積み重ねが会社全体のモチベーション、勢いになり、成長を後押ししてくれます。なぜ、それが可能なのか。その答えの1つは「経営者の姿勢」にあります。