
立会演説会で鍛えられた父・角栄氏
――どうすれば志と能力のある政治家が増えると思いますか?
一つには、選挙戦において1983年に廃止された立会演説会を復活させることです。その選挙区から出馬するすべての候補者が一堂に会して演説し、集まった有権者からの質問に答える。
父の時代は当たり前に行われていたようです。父は若いころ吃音者だったり、有権者が挑んでくる小難しい議論に対してうまく答えられず、「そんなんで立候補するのか!」って怒られたりと、相当苦労したそうです。でも、汗だくになりながらなんとか答えると、「カクさん分かった。応援しているから頑張れ」なんて言ってもらえて、緊張感と達成感の中で政治家として鍛えられたと振り返っていました。
7月の参院選では、各党が物価高対策として、現金給付やら消費税廃止やら耳に心地いい公約を打ち出していました。でも、今の日本は既に国の借金が約1300兆円あるわけです。少子高齢化も進んでいる。それなのに財政状況を改善するために、「みなさんにはこれだけの負担をお願いします」と呼びかける政党や候補者は皆無でした。
政治は「受益と負担」が原則です。国民はどんな受益があって、どんな負担を強いられるのか、有権者は立会演説会を通じて政治家を問い詰めるべきだと思います。それ以前に、ろくに勉強していないおバカな候補者を見つけ出す質問をしてもいいと思いますよ。「日本の憲法は何条までありますか?」「世界の人口は何人ですか?」とかね。政治家に対して興味関心を持たず、その資質をろくにチェックしてこなかった国民の側にも、政治の劣化を招いた責任はあると思います。
後編〈田中真紀子氏が“ポスト石破”に推す意外な人物とは?「石破首相ご自身も立候補されるといい」総裁選でケジメのススメ〉へ続く
(AERA編集部・大谷百合絵)
8月25日発売のAERAでは「自民党大解剖」を特集しています。
こちらの記事もおすすめ 【続きを読む】田中真紀子氏が“ポスト石破”に推す意外な人物とは?「石破首相ご自身も立候補されるといい」総裁選でケジメのススメ