市川團子(左)と市川染五郎
市川團子(左)と市川染五郎
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「AERA DIGITAL」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は7月16日に「AERA DIGITAL」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】父・香川照之と市川團子の貴重な親子ショットはこちら

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 吉沢亮主演の映画「国宝」の勢いが止まらない。東宝は7月14日、同作の累計興行収入が公開から38日間で56億732万7700円に達したと発表。観客動員数は398万1798人人となり、週末観客動員ランキングでは4週連続1位を獲得した。

 本作は吉沢と横浜流星がそれぞれ歌舞伎役者の“血”を持たざる者と、持って生まれた者の苦悩を好演。市川團十郎や片岡愛之助など現役の歌舞伎俳優たちも大絶賛しており、世代を超えて観客の心を捉えている。

「原作は芥川賞作家・吉田修一氏による同名小説ですが、映画では、吉沢演じる立花喜久雄(=花井東一郎)と横浜演じる大垣俊介(=花井半弥)との関係性が軸となっています。作中では立場が何度も逆転しつつも、互いに高め合うライバル関係性が見どころの一つで、“東半コンビ”推しの女性たちが大量発生しています。伝統芸能ファン以外を取り込んだことが、興行的に大成功となった要因のひとつでしょう」(映画ライター)

 この「国宝」旋風は、リアルな歌舞伎界にも波及している。SNSでは、劇中の“東半コンビ”に魅せられた観客たちが、“リアル東半”こと市川染五郎と市川團子に熱視線を送っている。

 染五郎は松たか子の甥、團子は香川照之(市川中車)の息子としても知られ、将来を嘱望される若手歌舞伎俳優だ。折しも、7月5日~26日に歌舞伎座で「七月大歌舞伎」が上演中で、夜の部の演目「蝶の道行」では、2人の共演が話題となっている。

 公開されているビジュアルでは、恋人同士の助国と小槇に扮した染五郎と團子の姿が収められており、その凛々しい表情や可憐なたたずまいは、まさに東半コンビの世界観を再現したかのよう。

 実際、SNSでは歌舞伎ファンが“染團コンビ”を激推し。「蝶の道行、『国宝』の東半コンビを思い出しました。2人の若者が芸の世界で必死に高みを目指して、それが舞台に表れていく感じがとても似ていました」「東半コンビに見惚れた人は、ぜひ7月の歌舞伎座で『蝶の道行』を!染團というフレッシュなコンビに会えます」といったメッセージが飛び交っている。

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